恐怖と不安が入り交じる中、すっかり冷えてしまった身体にため息を吐きながらも、美也はパジャマに着替えた。ソファーの上で体育座りをして隼人が来るのを待つ。

 ――そこで美也は思った。

 大学から帰る際、隼人によく家まで送ってもらったことはあるけど、中には入れたことはない……。 ましてや、家の中を見られるなんてもってのほか。


(……私の家、別に散らかってないし……隼人を家に入れても大丈夫だよね)


 そう安堵の息を吐いた刹那、チャイムが鳴った。

 ピンポーン。


「美也?俺だけど……!」


 隼人の声。美也は玄関の扉を開けて、すぐに目の前にいる隼人に抱きついた。


「おっ、おい……?」

「怖かった……私、どうなるんだろうって……」

「美也……。大丈夫、俺が来たからもう安心していい。な?」


 美也は隼人の腕の中で何度も頷く。そして隼人は美也をなだめながらも、家の中へと入った。