「俺が思うに、そんなことをしているのはその元彼だな」

「要が……?どうして……?今までこんなことなかったのに」

「束縛する元彼さんは、俺と付き合い始めたことが気にくわないんじゃないかな」

「そんな……」

「大丈夫、俺が美也を守るから。何かあったら連絡して?」


 隼人は携帯を取り出し、にこりと笑ってみせた。


「ありがとう、隼人。……迷惑かけて、ごめんなさい」

「謝るなよ。美也は何も悪くないんだからさ」


 美也はここで初めて、隼人に打ち明けて良かったと安堵の笑みを見せる。隼人はそんな美也に釣られて、また笑顔を浮かべるのだった。



 ――それから数日後。

 相変わらず続く無言電話と手紙。けれど、今回は少し違っていた。


『愛してる』

『キミは俺のモノさ』

『好きだよ』


 ……――『そういえばこの前、彼氏と会話してたよね?「俺が美也を守るから」って。あはははっ、そいつはキミを助けてなんかくれないよ』


 ――ゾクッ。
 美也は背筋が凍り付くのを感じた。


(どうして、隼人に打ち明けたことを知っているの?まさか、見られてた?!)


 ドックン、ドックン、ドックン。

 美也は気持ち悪くなって、紙をビリビリに破いてゴミ箱へと捨てた。