「お待たせ〜 優花」

「真紅。遅かったね?」

「うん ごめん。
先生に呼び出されて……」

「分かったから 本題に入ろう?」

「切り替えがはやいなぁ」



オレンジの教室が黒くなるような錯覚。
空気が一変した。

私はひと呼吸置いて、聞きたかったことを言う。


「……演技って何の事?
誤解ならやめて。ね?」


「そんなことよりさ」

美光が私の近くに寄ってくる。
コツコツと上履きの音が私に近づく。


「俺、優花のこと 好きになっちゃったみたい。」

「は……?」

「一目惚れ……かな。
ねぇ……俺と付き合わない?」





ゆっくり、ゆっくり………けど確実に、
美光は私に近づいてくる。

唇が触れあうまで……あと5センチ……


4センチ………2センチ。

1センチ。