状況を理解した時にはすでに手遅れで、
美光が私の口から離れた後だった。


「何するのっ!?」

「何って……唐揚げ貰っただけだよ?」

…相変わらずの笑顔に苛つきを覚える。


「貰っただけって……」

「噛んでなかったんだね。
おかげで原型とどめてたし、
美味しかったよ。」



『美味しかったよ』だと?
私は吐き気しかしないのに。
ふざけるな。

「酷いよ………そんなの。
初めては好きな人としたかったのに………」
俯きながら小声で言う。



私に好きな人間ができる訳がない。
だからこそ演じてるんじゃないか。
偽りの自分を。