私達以外に誰も居ない保健室に、ギシッとベッドが嫌味な音を響かせる。
「ファ…ルド?何するつもり?」
ファルドの機嫌を損ねないように、恐る恐る顔を覗き込むと、顔を真っ青にしたファルドがいた。
「…ファルド?どうしたの!?」
「気にすんな…俺から離れろ…」
今にも消えそうな、掠れた声を出すファルドに少々驚きつつ、そっとファルドから離れた。
その瞬間、ファルドがベッドに俯せになって倒れた。
「はぁっ…はぁ」
「ファルド!?大丈夫?」
「早く…俺から離れろ…早く…」
ここまで弱ったファルドを見たのは初めてだった。
今までは、幼稚園で私を庇って喧嘩して、傷だらけになって帰ってきた位だ。
どうしてもファルドを助けたくなって、私は最後の助け船を出すことにした。
「何か…出来ること…ある?」
恐る恐る聞いてみると、
「本当に良いのか?」
なんて言ってきた。
「忘れてるかもだけど俺、ヴァンパイアだぞ?」
その言葉を聞いた瞬間、サァァァっと血の気が引いて行くのが分かった。
そ…そうだった。
ファルドって…
ヴァンパイアなんだった!!!