それなのに、ファルドは機嫌を悪くするばかり。


教室の空気もどんどん悪くなっていたから、「じゃあ、失礼します」ってファルドの横を通り過ぎようとしたその時…――


「おい、ふざけんじゃねーぞ…」


低く暗いファルドの声が耳元で聞こえて、思わず身震いをしてしまった。


そしてそのまま私の右腕を掴むと、ファルドが急に私を引き寄せた。


「きゃっ!?」


私は一瞬何をされたか分からなかった。


でも…唇にファルドの体温を感じた。