「ファルド…って、誰?」


ビクッ。


恐る恐る前を見上げると、怖い程の笑顔を表したファルドが立っていた。


あ、しまったぁぁ!


この学校の中ではファルドは「榛原くん」なんだっけ!!


「あ…すみません…今のは気にしないで下さい…」


ドギマギした声で言うと、「榛原くん」は落ち着いた声で優等生発言をした。


「大丈夫ですよ。人間違いはよくあることですから。あ、じゃあお詫びって事で学校案内してくださいよ、“三浦さん”」


ファルドは“三浦さん”の所だけ強調して言った。


何優等生ぶってんの!


アンタの笑顔なんか世界中の女子達の為にあるんじゃないの?


そんなファルドにイライラしていて、取り返しも付かないことを言ってしまった。


「すみません、今用事があるんで。他の子にでも案内して貰って下さい。そっちの方が相手喜びますよ」


しかも、ドアの所には稲葉先輩がいる。


話したいことがあるのに…――