私は、ファルドがしたように、左目でファルドを思いっ切り睨んでやった。


するとファルドは、意外なことを言ってきた。


「嘘だよ。悪りぃな。琉莉に久しぶりに会ったから、どんな話すりゃいいか分かんなくてさ…ゴメン、琉莉……」


ファルドが、謝ってきた。


「ううん…こっちこそ悪かったわね…2回もひっ叩いちゃってゴメン」


私も、随分嫌味なこと言っちゃったし。


やっぱりファルドは優しいままなんだ。


そう思いかけた瞬間―――


パシン――


私の頭上で風の音がしたかと思ったら、鈍い痛みが走った。


「いッ…たぁ…」


ゆっくり顔を上げると、そこには絵で描いたような綺麗な笑顔をしたファルドがいた。


「バーカ。何引っ掛かってんだよ。オレが本気でお前なんかに謝るワケないだろ?あ、もしかして、本気に…」


バチン――


本日3回目。


私の手もジンジン痛かった。


「いッ…てーな…」


ファルドは相当ダメージを喰らったようだ。


「アンタが…騙すからでしょ?やっぱアンタ最悪!前言撤回!!」


もう…本気で怒った。


もう、ファルドの言うことなんか信じないと心に決めた。