あたしはひとつ気になったことがあった。

「ねぇ、雄?あたしのこといつから好きだったの?」

少し雄は考えてから言った。

「学校で、クラスが一緒になって、なんかいいな、と思ったんだ。」

「じゃ、じゃあ、雄があたしに告白してくれた前の日!女の子とゲーセンにいたよね? 何で・・・?」

「前に一回遊んだ女。同じやつと遊ばないって知ってたくせに、『デートしてくれないと縁切らない』って言ってきて、仕方なくゲーセンに行ったんだ。まさか奈美がいるとは思ってなかったけどな・・・。」

そうだったんだ・・・。安心した。

「それで?何で雄のお父さん達がいきなり帰ってくるの?」

雄は、あたしを抱きしめる腕の力を痛くないように強くした。

「俺が女遊びやめたって知ってたんだ。 だから、改めて後継者になるかの相談をするらしいんだ・・・。」

雄のこんなに弱気なところは見たことがない。

あたしは精一杯、雄を励ました。

「大丈夫。雄にはあたしがついてる。雄が大好きだから何があっても離れないよ?」

そう言った瞬間、雄はあたしから慌てて体を離した。

雄は、驚いた様子であたしを見た。

「奈美・・・?今、俺のこと大好きって・・・。」

・・・ん?・・・あぁ!勢いあまって言っちゃった!!

恥ずかしいよぉ!!

「あ、あの、気にしなくていい・・・」

ギュ・・・

雄はまたあたしを抱きしめた。

「本当か?本当なのか?」

大好きなのは本当。嘘は言ってない。

「・・・うん。本当だよ。あたし、雄が大好き。」

雄はあたしの顔見てニッコリ笑いながら

「俺、今、宇宙一の幸せ者だ・・・!」

そう言ってあたしを強く、強く抱きしめた。