たいしてやることもなく、ただDVDを見たり、話をしたりしていた。

いつも通りのふたり・・・。なんだけど、ちょっとだけ違う。

なんか、ぎこちない・・・(汗)

あたしはやっぱ緊張してるけど、雄は緊張してるのかな・・・?

あたしだけ焦っててバカじゃん。

「雄?なんか変だよ?なんか隠してる?」

雄は首を横に振って答えた

「俺だって、本当に好きな女が部屋にいると緊張すんだよ。」

雄は柄にもなく頬をピンクに染めてそう言った。

よかったぁ・・・。緊張してるのあたしだけじゃなかったんだ!

雄も緊張してたからいつもより少し変だったんだ・・・。


やっぱりその後もただただ時間だけが過ぎていった。

今の時間は8時50分。

もうそろそろ帰ろうかなぁ・・・。

「雄?あたし、そろそろ帰るね。」

___そう言った瞬間___


ギュ・・・

一瞬、何が起こったのか分からなかった。

でも、雄の香りがしたから、すぐに抱きしめられていることに気づいた。

「・・・奈美、もう少しここにいてくれないか・・・?」

なんか、雄に元気がなかった。

「どうしたの・・・?」

雄は、悲しそうな顔をしてあたしに言った。

「・・・明後日、親父達がここに来るって電話が来たんだ。」

雄のお父さん達が・・・?

「なんで?ダメなの?」

聞いて雄の顔を見たら自分の質問に後悔した。

「親父達は俺に親父の会社を継げさせようと今まで必死だった。」

あたしは黙って雄の話を聞くことにした。

「でも俺はその事が嫌になって・・・、夜遊びを始めた。最初はほんの出来心だった。 女ともたくさん遊んだ。奈美のことを好きになるまで・・・。」

心に何かが刺さったように苦しくなった。

「親父達は、俺が遊んでるって分かってから俺の前にはあまり現れなくなった。最初は全然気にしてなかった。でも、やっぱ、辛いときもあった。そんなとき、奈美を好きになった。だから遊ぶのをやめた。」