びっくりしたけど、特に断る理由もみつからなかったオレはとっさに、
「別にいいけど…。」
とだけ言っていた。

…こんなとこ泉に見られたら、来週問いつめられるな…。

そんなことを思っていると、影原から突然言われた。

「平野君。いろいろとありがとう。」
「……?何が?」
「え?あぁ、うん。なんかね、言いたくなったの。」
「オレ別にお礼されるようなことしてねぇんだけど…。」
「ううん。してくれたよ。それで平野君って優しいなぁって思ったんだよ。」

…よくわからないけど、なんだか嬉しかった。
だけどその反面、少し照れくさかった。

恥ずかしくなったオレは、気になっていたことを影原に聞いてみた。

「そういえば、影原ってなんで、髪染めたり、ピアス開けたりしたんだ?」

それはオレの中でのイメージが変わった頃から気になっていたことだった。
その質問に影原は、一度視線を戻してから、
「んー…なんとなく…かな?」
とだけ答えた。
その答えにオレはもっと聞きたいと思ったけど、影原の一度落ちた視線が気になって、それ以上は聞けなかった。


……そしてオレはこのあと、本当の答えを聞くことになる。