くだらない話をして教室でぐだってるときだった…―――――
ガラガラガッシャーンッッ!
ん?
なんか凄い音したんだけど…。
『なんだろうね?』
空と一緒に教室の外に出てみると、
『いッてー…』
そこには怪我をした男の子が倒れていた。
ガラスの破片が散らばっている。
さっきの音は窓が割れた音だったんだ…
それよりもー…
「あんた…大丈夫?」
私は男の子の横にしゃがみこんだ。
あーらま。
ガラスの破片で指切っちゃってるし…
足も腫れてる。
『平気平気!』
男の子はそう言って立ち上がった。
ほら
足ふらついてんじゃん。
もー…
「一緒に保健室行こ。」
『え?大丈夫だって!』
男の子は笑いながら私に言う。
だから大丈夫じゃないじゃん。
「いいから行くの!」
私は無理矢理男の子を保健室に連れていった。
ガラガラッ―――――
「しつれいしまーす」
…みっちゃんいないか。
しゃーない。
「そこ座ってて」
私はベッドを指差した。
ソファじゃ、低すぎて手当てが出来ないからさ。
『あのさ…』
後ろから男の子の声が聞こえた。
「んー?」
お、みっけ!
私は救急箱を持って男の子の横に座った。
『逢坂奈央、ちゃん?』
私…
この男の子と知り合いだったっけ?
「なんで私の名前、知ってるの?
ごめん…ちょっと染みるかも。」
私は血が出ている人差し指に消毒液をかけた。
絆創膏絆創膏っと…
とりあえず指の傷は大丈夫かな?
「で、なんで私の名前知ってんの?」
次は足かな。
私は男の子の前にしゃがみこんだ。
『…蓮がさ、可愛い可愛いうるさいんだよね(笑)
逢坂さん確か1組だって言ってたから』
「蓮って…桐山?」
『そーだよ。』
あいつ…
変なこと言わないで欲しいんだけどなー。
「てか、桐山と知り合いなの?」
『おー。親友かな、いちおう』
へー
桐山にも友達いたんだ←
「…てか右足捻挫したでしょ?」
私は男の子の右足にシップを貼った。
『へ?…うん。』
足腫れてたし。
あんだけ派手にやられちゃったら…ね。
「わかるっつーの。
ほら!出来たよ。」
男の子の右足は包帯でぐるぐる巻きにしといた。
『ありがとなー。』
「どーいたしまして。…で、何でこんな怪我したわけ?」
私はもっかい男の子の隣に座った。
あ…、ほっぺも切ってんじゃん。
『…先輩たちが1年生からかつあげしようとしててさ。…むかついたから、うん。』
「助けようとしたの?」
男の子は頷いて、力なく笑いながら、
『俺結構喧嘩強い方だと思うんだけどさ(笑)
3年生十人相手じゃちょっときつかったみたい』
と言った。
「あんた…良いやつなんだね。」
『んなことねえよ。つか逢坂さんこそありがとな?』
逢坂さんて…
「逢坂さんはやめてよ。呼び捨てで良いし!
てかまだあんたの名前、聞いてないよ?」
私は救急箱から絆創膏を一枚取り出して、男の子のほっぺたに貼った。
『あそこで…逢坂が来てくれたから、俺もそこまで怪我しなくて済んだし。』
ありがとな、と言った男の子の笑顔はとても優しく見えた。
『あ、俺の名前は宮市翔。よろしくな?』
みやいちしょう…?
なんか聞いたことある気がする…
『逢坂戻っていーよ?俺このまま授業さぼるわ』
「え、ずるいー。私も授業さぼらせてよ」
『おー。なんか、色々ありがとな?』
私、なんもしてないんだけどな。
宮市のためになったなら良かった良かった。
…おっとお。
宮市くん、私の肩寄りかかってきてるんだけど。
いやーん
だいたーん。
なんつって
お疲れ様、宮市。
今日は特別に私の肩貸したげるよ。
のほほーんとした空気が流れていたとき
ガラガラッッ…―――――
『翔!だいじょう…ぶ、か?』
勢いよくドアを開けたのは桐山だった。
「あ、桐山。宮市寝てるから静かにしてね!」
私は小さな声でいった。
せっかく寝てるんだし。
宮市の寝顔が可愛いとか思ってないから。
…あは。
可愛いんだなこれか(笑)
「って、桐山?」
ちょいちょいちょい!
私たちに近付いてくる桐山。
顔…、怖いよ?
そして宮市の頭にでこぴんをした。
え、うそん。