『ほら、』
桐山は私にカチューシャを渡した。
「ありがと。」
"お前の方が可愛いっつーの"
が頭の中から離れない。
いつもならスルーして終わるのに…
『奈央、教室戻れるか?』
「うん、大丈夫だよ。」
すると桐山は着ていたブレザーを脱いで、私にかけた。
『来とけ』
「いらないよ!桐山寒いじゃん!」
『いーから、黙って着とけ。これ着てたら多少は変な目で見られねーだろ。てか見てたらぶっ殺すけど。』
ぶっ殺すって…
大袈裟だっつーの(笑)
んでも、
「ありがと。」
桐山の優しさが、ブレザーのぬくもりから伝わってきた。
「じゃ、教室戻ろっか。…蓮」
『…へ?今、何て呼んだ?』
もー、さりげなく言ったつもりだったのに。
いちいちつっこむなよ…
意外と恥ずかしいんだからっ
「うるさい。早く戻るよ、蓮」
私は蓮の手を掴んで歩き出した。
『奈央に蓮って呼ばれたあ!』
後ろでにやけている蓮。
「はいはい、良かったね」
私は今日から、桐山じゃなくて"蓮"って呼ぶようになった。
『おかえりー!奈央のおかげで大繁盛だよっ!』
教室に戻った私に、笑顔で駆け寄ってくる空。
さっきあったことは誰にも言わないことにした。
言ったってどうにもなんないし、私は何にもされてないし。
…ちょっとはされたけど。
「良かったー!私、休憩してもいい?」
『いいよっ。なんなら他の店回っても良いし。2時までに帰ってきてね!』
「ありがと!じゃあ他のクラス行ってこようかなっ」
私は2年1組を後にして、榛名がやっている和菓子屋さんに向かった。
『いらっしゃいませ!って…奈央?!』
私の格好を見て固まる榛名。
榛名にはまだ見せてなかったんだっけ(笑)
「やっほー!あんみつ食べに来たよ♪」
『お、おう…。ここ座って待っててくれ。』
榛名に案内された席に、私はゆっくり座った。
『ほれ、あんみつ!てか…、何て格好してんだよお前』
榛名は私の格好を見て、笑った。
「コスプレ喫茶やってんの!榛名もうちのクラスおいでね★」
私のモンハンの為にも!←
『行く行くっ。…てか、このブレザー誰のだよ。』
「ん?これ蓮のだよ。…あんみつ美味しいー♪」
さすが空がアドバイスしただけはあるね(笑)
こりゃあ売れるよー
『蓮って、桐山か?』
「…うん?どーかした?」
榛名の顔が不機嫌そうになった。
榛名は蓮が嫌いなのかな?
『いや、どーもしねーけど。じゃあ俺仕事戻るわー』
「おうっ!頑張ってねー。」
榛名も忙しいねー。
なんか榛名もイケメンで有名らしくて、榛名目的の女の子も多いらしい。
最近知ったよそんなこと(笑)
榛名はイケメンの分類に入るんだねーっ
まあ確かに格好良いけどさ…
「ごちそうさまでしたっ」
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『おかえり奈央っ!さっそくだけど接客頼んでい?』
「はいよー」
私は榛名のクラスであんみつを食べて、いろんなとこをぶらぶらして結局2時よりも前に教室に戻ってきた。
「いらっしゃいませ!」
私は、必殺営業スマイル★(←)でたくさんのお客さんを呼び込んだ。
あれもこれも全ー部っ、
モンハンの為!←
『おつかれーっ』
空が一人一人に声をかけている。
あっとゆう間に放課後です。
「お客さんすごかったねー!」
文化祭1日目の時点で、私たちの売り上げは2位。
1位は、3年生のクレープ屋さん。
『明日こそ、3年生の売り上げを抜かすぞー!!!』
『『『おー!!!』』』
…なんちゅー団結力や(笑)