10分経過。
ガラガラッ…――――
『ただいまー!
涼木、食べてみて?』
榛名があんみつを持って帰ってきた。
『いただきます。』
うわあ…
めっちゃ美味しそう。
食べたいー。
『あ、食べる?』
空が私の視線に気づいたのか、一口食べせてくれた。
え、なにこれ。
「美味しい」
このあんみつ、今まで食べてきたあんみつの中で一番美味いよ!
『どう、かな?』
不安そうな顔で空をみる榛名。
『…うん。美味しい♪』
笑顔であんみつを食べる空。
私も美味しいと思う。
『本当に?!良かったー。ありがとな、涼木?』
榛名はエプロンを脱ぎながら、空に言った。
『いえいえ。役に立ってよかった♪』
さすがだなあ。
私はこんなことできないだろうな。
てかお菓子とか作れないしー。
『じゃあ、俺行くわ!また明日なー!』
椎名はすぐに教室から出ていった。
『私たちも、準備頑張らないと!』
「そーだね!」
でも準備って何やんの?
てゆーか
私コスプレするんじゃんよ。
すっかり忘れてた。
まあ腹くくって、思いっきりなりきるけど。
『奈央のコスプレ、もっかい見たいな♪』
「本番まで我慢。」
『はーい』
私、逢坂奈央は文化祭を楽しむことにした!
文化祭当日…――――
《あの子可愛い…》
《アリスかなあ》
《どこのクラスだろ?》
《彼女にしてえー》
たくさんの人に注文を浴びてるのは私。
なんで注文を浴びてるかって?そりゃああの服を着てるからですよ。
「2年1組です♪ぜひ遊びに来てくださいねーっ」
そして、営業スマイル★キラッ←
《は、はい…行きます///》
なーに顔赤くしちゃってんのさー。
私なんかの笑顔で。
なんでこんな格好して歩いてるかって?
んなの、空の仕業に決まってんじゃん。
『奈央は外回りねっ』
今日の朝、突然言われた。
「外回りって…何すんの?」
『その服で学校中歩き回って、コスプレ喫茶を宣伝するの★』
…馬鹿じゃないの?
「無理です」
『無理じゃないでしょ』
いやいや、本人が言ってるんだから無理ですって。
私の言いたいことがわかったのか、空は意地悪な笑みを浮かべ言い放った。
『へー。じゃあいらないんだー。モ・ン・ハ・ン!』
…そんなもん
「やりますッッ!」
だって、モンハン欲しいからねっ★←
とまあこんな感じで、今の状況になりました。
周りの視線は気になるけどー
…意外と楽しいよ(笑)
こんな格好で歩けるなんて、そうそうないからね。
私が周りの人たちに営業スマイルを振りまいてるときだった。
『あれー、奈央じゃん!』
「あー、桐山じゃん。」
そこには制服を来た桐山と、猫耳をつけた宮市がいた。
ん…、猫耳?
「宮市、どうしたのコレ」
宮市の頭についてる猫耳を触りながら問いかけた。
『逢坂…』
宮市の目は涙目で、頬はほんのり赤く染まっていた。
『こいつが、無理矢理つけやがった。』
宮市は桐山を睨み付けた。
って、そんな可愛い顔で睨まれても怖くないし(笑)
「可愛いーっ」
私は宮市の頭をくしゃくしゃと撫でた。
なんて可愛いんだお前はっ!
てか…、宮市ってこんなキャラだっけ?
最初に会ったときは、もっと男らしくて格好良い感じがしたんだけどなー