母は、当たり前のように言った。
「お世辞でも嬉しいよ。」
連は、照れ隠しのように言った。
「連、あなた、もう少し素直になったらどうかしら?」
「分かってる、分かってるんだよ。心の中では分かってるんだ。でも…。」
「再び現れた香さんの事?」
連は、二年前、女神の事を話していた。その時には、信じてもらえなかったが去年も
その話をして、少しは信じてくれるようになった。
「今日、逢ったんだよ。女神の香に。」
「そう…、だったの…。」
母は、悪い事を聞いてしまったと後悔した。そして、椅子から立ち上がった。
「でも…、ありがとう。今度、素直になってみるよ。」
「今度って…。」
母は不思議そうに尋ねた。
「二十四日。」
「えっ?」
「二十四日にこっちの世界にまた来るらしいんだ。」
「クリスマス・イヴか~。久しぶりだね、クリスマス・イヴに予定が入るなんて。」
「そうなんだ。でも…。」
浮かない顔をする連。