連は毎日、五時三十分に起床しいつもの場所へと行っている。そう二年前、交
通事故で亡くなった筈の姫野香と出会った場所である。昨年は、夏休みが終わった、
つまり長月には、出会っている。そのことが高一、 高二の時にあり、今もこうして
あの場所へと行っている。なぜなら、霜月になっても彼女の姿を見ていないからであ
る、連は、現実主義者である。連は、未だに姫野香の死を認めた訳ではなかった。事
故の容疑者を殴りかかろうとした事もあった。そして、いつもこの世界に存在する意
味なんてあるのかな、そんな顔をしていた時。女神と名乗る、姫野香が現れた。女神
は、この世界に三日間、存在する事ができるらしい。姿・形を自由自在に変えて、連
は、あっちの世界で何かあったのかな、と思っていた。あっちの世界とは、女神が住
む、丞界という世界らしい。そして、連は一時間程テレビを見た後、母の鞄が置いて
あった棚の上から、手袋とマフラーを手に取り、マフラーを首に巻き、手袋を左手に
嵌め、右手でテレビのリモコンを取り、テレビを消した。右手にも手袋を嵌め、その
手で棚の上にある自分の財布を手に取り、玄関に向かった。