椅子に座り、テーブルの上にある皿の上にのった焼いてある食パンを手に取りながら
答えた。
「そう、今日も、いなかったのね。香さん。」
連は何も答えないまま、食パンを頬張る。母は、洗濯物を干し終え、食事中の連の前
を横切り携帯電話を左手に持ち再び横切った。そして、棚の上に置いてある鞄を右肩
にかけ忙しなく、玄関に向かった。
「じゃあ、行ってくるね。」
「行ってらっしゃい。」
母は、旅行会社の仕事をしている。今日は休みのはずだったが、急に仕事が入ったと
いう。年末も近いからな、しょうがないか、と連は思った。今日は連も学校は休み
だった。そして、連は朝食を食べ終え、テレビのリモコンを手に取り、テレビをつけ
た。そして立ち上がり、パンの皿を手に持ち、キッチンへと向かい、皿を洗う。連は
スポンジを手に取り、液体洗剤をつけ泡立てる。スポンジを使って皿を撫でるように
洗う。皿についた泡をよく水で洗い流し、乾燥機の中に立てかけた。して再びリビン
グに戻り、椅子に座った。連は、面倒臭いので、滅多に乾燥機の機能を使わない。そ
して、テレビを横目に新聞を広げた。一通り新聞に目を通した時には、八時を迎えて
いた。