「ここの紅茶は、いつもスリランカ産だから美味しいんだ。」
そして連は紅茶を二つ店員に頼んだ。二人は、互いに好きな紅茶を飲み、今までの出
来事について話していた。連は外を見つめ、日が沈むのは早いな、と思った。二人は
喫茶店を出た。
「寒いね。」
香は、そう呟いた。今では、吐く息の白さがはっきりと分かるほど、暗くなった。そ
して商店街の真中を歩く、雪篠駅に向かって。夕方とは違い、夜の光景は、まったく
と言っていい程、表情を変えていた。辺りは、赤いランプと白いランプが交互に光を
放っている。赤色のランプが光ると香のコートの色が淡い桃色になる。そして…正面
に大きな木が見えてきた。木を通り過ぎると、雪が降ってきた。もう夜は、遅いのだ
が、周りは、賑やかである。少し静けさが広がった所で連が口を開いた。
「そう言えば…昨日の事…。」
連は、ずっと考えていた。そして落ち着いて言った。
「俺は…好きだ。女神としての香が。」
香は静かにそれを聞いている。
「分かったんだ。君が香の姿をした女神でも、その女神を自分は、好きになったん
だ。」
連は、堂々と言い放った。
香は、笑顔を見せ、こう言った。