香は、美しい微笑みを見せ、景色に紛れて消えていった。
「明日…か。」
すると、天使の羽、雪が降ってきた。連は自分の家へと歩きはじめた。家の明かりが
点いている。扉を開け、リビングに向かう。すると母は、不思議な表情をしてこちら
を見た。
「あれ…香さんは?」
「消えちゃったよ。雪が降ると同時に。」
それだけ言って連は、自分の部屋へと向かった。電気を点けず、月明りだけを頼りに
ベッドに寝転んだ。そのまま何も考えず、床に着いた。翌朝、連は玄関のチャイムに
起こされた。何となく寝間着から服に着替えた。もう一度、チャイムが鳴る。連はリ
ビングを通り玄関へ向かおうとした。すると母は、扉を開け、外にいた人に驚く。
「香…さん?」
「初めまして、女神の姫野香です。」
笑顔でそう言った。実際に見るのは、母は初めてだった。
「連!早く行こうよ。」
「あぁ。」
連は靴を履く。
「朝食は、どうする?」
「日が昇るくらいには帰ってくるよ。」
そして二人は外に出た。あの場所に向かった。しばらく歩き、香は後ろを見た。
「ねぇ、刻んだよ。足跡の平行線。」
連も振り返り、それを見た。まだ朝は早いので、二人以外の足跡は無い。