人は不思議な事に、先、未来に予定、やりたい事があると、
一日一日が長く感じるんですよね。そして、何気ない退屈した日々が過ぎ、クリスマ
ス・イヴの前日の十二月二十三日の夜を迎えた。連は、連は、両手を頭の後ろにもっ
ていき、寝転んだまま天井を見ている。特に、気持ちの変化は無かった。大きな木の
下がおおよその見当はついているし、来るのは見慣れた香りだから。そして連は、徐
にウォークマンのイヤホンをつけた。一回曲を聞いて床についた。連が起きた時に
は、母は、いなかった。それもその筈、もう八時なのだから。連は久しぶりに長く
眠っていた。テーブルの上には、サンドイッチと手紙が置かれていた。朝食の前に風
呂に入る。着替えを済ませ、濡れた髪を拭いて、椅子に座り、少し濡れたタオルを隣
の椅子の背にかけた。今日は、牛乳を飲み、サンドイッチを頬張る。大事な日は紅茶
を飲まない。気分を害してしまうかもしれないから。連にとって紅茶は、それほど大
切なものなのである。食べ終え、キッチンに向かい皿とコップを洗った。そして、棚
の上のマフラーと手袋を持って外へ出た。今日は、いつもと違う気がした寒さだった。