「いらっしゃいませ!三名様ですか?」


私達は新しく出来た『雷神』という居酒屋に来た。

「四名です。あとでもう一人来ます。」

店員サンの質問に、メグがそう答えた。

「わかりました。お席へご案内します。」


店員サンにそう言われ、私達は店の奥へ進んだ。
少し薄暗い店内。

さすがにオープンしたばかりとあって、とても綺麗なお店だ。

「こちらのお席にどうぞお座り下さいませ。」

店員サンに案内された席に私達三人は座った。
私の隣にはメグが座った。
正面には悟が座った。
なぜだろう…。少し落ち着かない。
新しいお店だからかな?
ちょっとお手洗いにでも行って、少し気持ちを落ち着かせてこよう。


「席着いたばかりなのにごめん。ちょっとお手洗い行ってくるね。」

「ぁ、うん。夏美の飲み物とか勝手にァタシ頼んでおくよ?」

「ありがとう。お願いネ。」


そう言い残し、私はその場を外した。

「さてと…。お手洗いどこだろ?」

初めてのお店で、内装の造りがわからない私は少し迷ってしまった。

すると、一つの扉が私の前に現れた。私はお手洗いの扉だと確信し、迷いもなくその扉を開けた。

-ガチャ-

「…あれ?ここどこ?」


開けた扉の向こうは、どうやら従業員専用の倉庫みたいな感じだった。
クジ引きの外れをひいた気分になった。

「ここじゃなかったか…。もう諦めよ。」

そう一言漏らして、私は部屋を出ようとした。
その時

「…お客様?」


「キャッ…」


突然店員サンに声をかけられ驚いた私は、バランスを崩し転んでしまった。

「お客様!大丈夫ですか!?」


転んだ私に、店員サンがすぐさま私にかけつけてきた。


「ぁ…、大丈夫です!こちらこそ、勝手に入っちゃってごめんなさい…」

「いえいえ、気になさらないで下さい。お怪我は無いですか?」



転んだ私を優しく起こしてくれた。

「本当にもう大丈夫ですよ。ぁ、お手洗いの場所教えて頂けますか?」

店員サンは少し微笑んで、お手洗いの場所まで私を案内してくれた。

「ありがとう、店員サン。」

また少し微笑んで、店員サンはその場を去った。