私は頬を押さえながら、匠から7万と財布を奪おうとする。

けど、サ…ッと、財布にまだ残ってた、5万円も出てしまった。

義父親と匠が、それを見て驚いてる。



「…この汚い金を、優太に渡すのは許さない」



樹はお金を財布に戻すと、私の手に握らせた。



「“汚い”って何…?」



財布を握りながら、思わず口に出た言葉。

椅子に座る樹を上から睨むと、まだコンタクトを入れてないのか、ポケットにしまっていたらしい眼鏡をかけながら、私を見て来た。



「何が綺麗で、何が汚いないの?
んあ?言ってみろよ――ッ!!」



私は初めて、この家で素の自分で叫んだ。