「優香、あのさ…」



隣に座る優太が私に耳打ちをして来た。

ゴールデンウィークに、友達4人で旅行に行きたいらしい。

優太はバイトをしてるけど、将来の事を踏まえた貯金などを考えて、予算には限界があるだろう…。



「いくら?」



私は耳打ちをするやらしさが嫌で、普通のボリュームの声で訊いた。

優太は指で6を作った。

6万と云う意味だろう。



「6万ね」



私は足元に置いてある鞄から、母親にプレゼントしても、1ヶ月で私の手元に、形見として返されたブランドの財布から、遊びやお土産代を含めた7万を優太に渡した。