「ところで、菜穂たちがきみを連れ回す計画をいろいろと立てているけど、きみはなにか予定があったりするのかい? せっかく半年ぶりくらいにこっちに戻ってきたんだ、友達にも会いたいだろうし、そうならわたしから言っておくから」


友達、その言葉を聞いた瞬間、数少ないかつてそう呼べていた人たちの顔が思い浮かんだ。

友達というよりも仲間、という言葉の方がしっくりくる。

私がともに夢を追いかけ、勝利を目指し、同じ未来を誓い合っていた仲間たち。


その人たちは同時に、私が裏切り捨ててきた人たちでもあるのだけれど。


会いたい、それは確かな気持ちだ。

けれど会えるはずがない、合わせる顔がない。


なにも言わずにすべて捨てて、ともに掴んだ過去の栄光すら恥じるように隠す道を選んだのだから。

私は彼女たちを裏切り、そして同時に、ひたむきだったいつかの自分自身でさえも裏切ったのだ。



「予定なんてありません。今さら会える友達なんて、いませんから」


それが叔父の耳にどう響こうとも、事実なのだから仕方がない。

私にはもうここに、友達などいない。