よくわからないままにドレスの試着が終わった。

元の服に着替えてやっと緊張から解放された私のため息を聞いた叔母は、少し部屋で休むように促した。


「新幹線も長かったし、疲れたでしょう。あなたの部屋に案内するわ」


広い家、というより城のような建物の中、絨毯の敷かれた廊下を叔母の後に続いて進む。

複雑な造りではないけれど、こんなに広いと迷いそうだった。

そして、チョコレートのような扉の前で叔母は立ち止まった。



「ここよ」


そう言って開けられた扉の向こう側には、可愛らしい調度品が詰まっていた。

足を踏み入れて見回すと、とにかく女の子の憧れを凝縮したような部屋になっていた。


アイボリーに小花を散らしたデザインの壁紙。

初めて見る天蓋付きのベッド。

チェストやライティングデスク、ドレッサーなどはすべて白で統一されていて、窓からの光をうけて部屋を明るく彩っている。


「こっちがバスルーム」


個人の部屋にバスとトイレが付いていることにも驚いたけれど、それらが一般の家庭あるものと同じくらいか、それより少し広いくらいだったために、私はもう何から驚けばいいのかわからなかった。