叔母に連れられて入った部屋に、トルソーに着せられた桜色のドレスがあった。


スクエアカットの襟元と裾には光沢のある糸で繊細な刺繍が施してある。

ウエストから裾に向かって濃くなるグラデーションは、たっぷりのオーガンジーで山桜のようで。

袖はシフォン素材に切り替えてあり、ふんわりと肩を覆うフレンチスリーブ。


ため息が出そうなほど美しいワンピースドレスだった。



「綺麗・・・・」


思わずそう呟いた私に、叔母は慈愛に満ちたような瞳で微笑んだ。


「あなたのイメージに合わせた色とデザインにしたの。可愛くて、でも誇り高いお姫様みたいな」


叔母の目には私はそんな風に映っているのかと思うと、少し気恥かしくて照れくさくて、それでも嬉しかった。



本当の私はお姫様でも、可愛らしくもないし、誇りも失いかけたこともあった。

それでもきっと、叔母が言っているのはそういう意味ではないと思った。



ただの小さな女の子。



そう言われたような気がしたから。