「きみのドレスなら用意してあるよ。だいたいのサイズで作ってあるから、あとで調整すればいい。
マナーについては問題ないね? 皇ヶ丘学園は中等部から、マナー講座の授業があるからね。きみの通っていた特待クラスも例外じゃなく」

「・・・・叔父さま、よくご存じですね」


「一応幼稚舎からあの学校に通ったOBだからね。それに皇ヶ丘のマナー講座はかなり実践的で定評がある」



社交界デビューを控えた中等部から、皇ヶ丘学園ではマナーを学ぶ授業が始まる。

もちろん、多くの生徒がそれなりの家柄の令嬢や御曹司だから、生まれた時からそういう場での振る舞いについては教えられているけれど、それでもマナー講座は役に立つのだ。



お茶会から冠婚葬祭まで。

どんな場でも、家の名を汚さないように振る舞えなければならないから。

そこで習った社交ダンスも、まだステップを身体が覚えている。



「よかったらこれからドレスを見に行きましょう。微調整もしなければならないし」


菜穂さんにそう言われて、私はあまりの用意の良さに疑問を感じながら、ひきつった微笑を張りつけてその部屋を出た。