その背中を見送った私は、菜穂さんと二人きりで残された。

菜穂さんはどこか痛そうな、本当に心配げな表情で閉まった扉見つめた後、私に向き直った。

「ごめんなさいね。お義母さま、あの話になるといつもああして取り乱してしまうの。当たり前よね。後悔が大きすぎて、私たちでも埋められないから。
でも、あなたならそれを埋められるかもしれないわ。そう思って、お義母さまの名前を使ってあなたに来てもらったの。
嘘をついた形になってごめんなさい」


先ほどの話の流れだと、祖母は叔父の制止を振り切ってまで強引に私に会おうとはしていなかったように思えたから、やっと筋が通ったように感じた。


「いえ。私がいることで少しでもおばあさまの気持ちが落ち着くなら・・・・。でも逆に、私のせいで余計に苦しんでしまうんじゃないかと不安です」


俯く私の言葉に、菜穂さんは強く首を振った。