ミスプリントが1枚と、異動する人物自体が間違っていたのが1枚、それに全然関係ない、来年度入社予定の履歴書が3枚入っていた。



それを指摘すると、



『まだ3分くらいしか経ってないのに、もう終わって、それに間違っていた書類も見つけたんですか!?

凄すぎます社長!』



と、かなり驚いている。



「先ずは、この制作部への異動書、制作部 音響課に成っていますが、これは制作部 音響制作課の間違いですね。

それと、北村勇は、今回の異動は無かったはずでは!?

情報処理課への異動は、広川勇だよ!

後これ!

まだ入社もしていないのに異動書は無いだろう!

ちゃんと確認して、きちんと配属書として正規の配属先を調べ直して処理するように!

宜しいですね!?

それでは、それが訂正し終わったら端末への入力を済ませて、明日社内報を発行して下さい。」



『畏まりました社長。

それでは、失礼致します。』



「御苦労様。」



~・~・~・~・~・~・~・~・



『課長、驚きましたね。

噂は聴いてましたが、これほど社長が凄い人だとは知りませんでした。』



「多分、今回の人事異動書にわざと入社予定の履歴書を混ぜたり、違う人物で配属書を作ったのを知ってたかも知れないよ。」



『わざと遣ったのがばれたんですか?』



「多分な!
社長、俺達が退室する瞬間笑っていたよ。」



『あ~ぁ、それが本当なら、今度は俺が降格させられる~!
折角、主任として漸く仕事にも馴れてきたのに……』



「心配しなくても大丈夫だよ。

そんなことでいちいち社長は怒らないから。

彼が怒るとき、それは人を傷つけたり、信頼を裏切ったり、会社に不利益を及ぼそうとする人物に対してだけだから。

今回の事は、俺達が社長とゲームをして遊び、社長が勝って俺達が負けただけの事だよ。」



『金光課長、本当に本当ですね!?

去年結婚したばっかりで、今年の秋には子供も産まれるのに、平に降格したら、妻に何て謝りゃ良いか……』



「全くもう!!!

安井主任、情けない声を出すな!

心配無いから。

それよりも、そのネガティブな考え方を改めていかないと、そっちの方が降格理由になるぞ!

もっと前向きな考え方をしろと、いつも言ってるだろう!」



『は……い。

気を付けます。

それにしても、本当に社長って凄い人ですね。』



その頃、社長室では



「あの二人、俺を試しやがって!

まぁ、これで人事部の人間は俺の実力を知ったはずだ。

まだまだ社内には俺を認めてない人間が居るからな!

頑張らないといけないな。」



コンコン!



『失礼致します。

社長、李支社長が参りました。』



「どうぞ、通してください。」



『チャンス、じゃなかった!

高山社長、ちょっと良いか!?』



「李支社長、ワザワザどうしたんですか?

用が有れば呼んでください。

直ぐにこちらから伺いますから。」



『まぁ、そんなことはどうでも良いよ。

それよりも、今回の異動の件なんだが、もう聴いたか!?』



「はい。

韓国本社 代表取締役 専務 就任おめでとうございます。

念願の本社勤務ですね。」