午後2時15分、ラウンドを終えてクラブハウスに戻って来た俺達4人。



浮かない顔のヒョンニム(兄さん)とニコニコ顔のソナが対照的だ!



シャワーを浴びて、着替えを済ませた俺達は、2階のレストランでかき氷を食べている。



午後からは更に暑くなり、体内の水分も不足している上に、体内温度はいっこうに下がってこなかったが、かき氷を食べ終わる頃には、館内の空調すら寒く感じるほどであった。



『チクショ~!

まさかの引き分けなんて、あり得ない!

全ては、あのPAR3の5番ホールのせいだ。』



「仕方無いじゃないですか!

まぁ、また今度お手合わせ願います。」



『チャンスは、このゴルフコースは何度目なんだ?』



「まだ5回目くらいです」



『言い訳じゃなく、俺はここのコースは初めてなんだからな!』



「それでも引き分けは引き分けと言う事で、リベンジは次回にまた!

それにあの5番ホールは、ちゃんと説明して、私が先に打ってお手本見せたのに、番手をあげるからいけないんですよ。

あそこは向かい風がきつすぎるから、PAR3でも番手はかなりあげなくてはいけないけど、ヒョンニム(兄さん)の腕前なら、クリークで充分なのに、スプーンなんか握るから、グリーンオーバーしてしまうんですよ。

風の影響を受けた場合は、罰打無しで再ティーアップ出来て、好きな方を選べるウィンドハザードホールなのに、意地を張って打たないんだもん!

今日は、北西風が風速16メートルくらい吹いていたんですよ。

それにあのグリーンは、奥に向かって下ってますから、グリーン手前のカラーの部分に落とせば、勝手にオンしてくれるんですよ。」



今更ながら、悔しがる兄さんをニコニコしながら、ヌナ(姉さん)とソナが談笑している。



『オンニ(お姉さん)、あの9番ホールのアプローチショット最高でした!

チップインバーディ、私も遣ってみたいなぁ~♪』



「ソナちゃんだってパー5つも取って、凄く良かったわよ♪」



『ユジン、スコアカード見せて!

書き落としが有った!』



「ハイ、どうぞ!」



『ヤッパリ、何度計算しても引き分けだなぁ~……』



「ヒョンニム(兄さん)、また今度対戦しましょ!」



『それじゃあ、そろそろ荷物積んで帰るとするか!?』



「そうですね。」



俺達は、ロッカーに戻って着替えの入った手さげのバッグを持ってフロントで清算を済ませた。



表に出て、キャディーバッグを持って来てもらうために名前を告げた。



『お名前は?』



「高 長寿(コ・チャンス)、林 善雅(イム・ソナ)、高 友植(コ・ウシク)、孔 優珍(コン・ユジン)の4名です。」



直ぐに持って参ります!と言って裏のバッグ置き場に取りに行ったキャディーさんが、キャディーマスターと共に戻って来た。



『あの~ですね、あなた方4名様のキャディーバッグは、先程新星MUSICのマネージャーさんて方が、代わりに宿泊先まで運ぶ様に指示されたとかで、既に皆様のゴルフバッグは運び出したそうですが。

宜しかったのでしょうか!?』



「今回、マネージャーは同行していませんし、誰かに頼んでもいませんよ。

ヒョンニム(兄さん)、こりゃバッグ盗まれましたよ!」



『みたいだな!

キャディーマスターさん、そのマネージャーと名乗った人物の人相とかは分かりますか?』



『一応、防犯カメラが設置されてますので、観に行きましょう。』



と言う事で、俺達全員で守衛室へと向かった。