翌朝は、早くから起きてマンスオジサン特製の手作りバケットのガーリックトーストと、オニオンオムレット、コーヒーとササミサラダを食べて、昨晩から用意しておいたゴルフのキャディーバッグを車に積み込んで、ソナと共に隣の保養所に友植ヒョンニム(ウシク兄さん)と優珍ヌナ(ユジン姉さん)を向かえに行った。



『おはようチャンス、ソナちゃん!

準備出来たみたいだね。

それじゃあ行こうか。』


「じゃあバッグ後ろに積んどきますね。

友植ヒョンニム(ウシク兄さん)、優珍ヌナ(ユジン姉さん)、どうぞ乗ってください。

エアコン入れておきましたから、中は涼しいですよ。」



『チャンスは、本当に気が利く奴だな!

普段からそんなこと遣ってて疲れないのか!?』



「まぁ、自分が納得して遣ってる分には何とも有りませんですよ。

でも、強要されるとムカつきますね!」



『オッパ、強要されるとって、どんなときなの!?』



「そうだなぁ‥‥‥例えばテレビ局なんかで、プロデューサーに成り立ての人なんか、たまに、オタクのタレントをうちの局が使ってあげてるんだから、何か無いの!?とか言ってくるバカが居るんだよ。」



『ハハハ、酷い!

チャンス君は、そんな時ってどう対処するの?』



「ヌナ(姉さん)、そう言った賄賂欲しがるプロデューサーには、うちの実家のお食事券渡したり、売れてるタレントのグッズ渡して誤魔化しているんですよ。

下手に現金渡したら、後でややこしく成りますんでね。」



『それではそのバカなプロデューサーは納得しないでしょ!?』



「はい、下手(したて)に出ている間に、おとなしくしてくれないプロデューサーに対しては、タレントを引き揚げさせますからって脅します。

それで分かってくれなければ、組織のトップに話を持っていくだけです。」



『相変わらず粗っぽいなぁチャンスは!』



「ですがヒョンニム(兄さん)、こっちがちゃんとした対応をしておかないと、辛い思いをするのは、そんなプロデューサーやディレクターの下で活動しなきゃいけないアナウンサーやタレント達ですからね!

その人達を守るためなら、こっちが嫌われものに成っても構わないし、それくらいの覚悟が無いと、この業界でチャンスは掴めないですから。」



『まぁ、確かにチャンスの言う通りだな!

だけど、そんなこっちの事を考えてくれないタレントもたまにいるから困るんだよなぁ…!』



「ハハハ、確かにその通りですね。

16才でモデルデビューして、直ぐに売れっ子に成った朴 在虎(パク・ジェホ)がそうだったからなぁ。」



『オッパ、それってORJANG(オルチャン)のPJさんの事ですか!?』



「あぁ、そうだよソナ!

兎に角、彼はモテたから手当たり次第に、他の事務所の女性タレントやモデルに手を出して、事務所同士が揉め事に巻き込まれたりしたんだよ。」



『何回か警察沙汰にもなったよな!ハハハ!』



「ヒョンニム(兄さん)、笑い事じゃ無いんですからね!

あの時は、ちょうど夏休みで家族で韓国へ来てた時だったんだけど、アボジ(親父)が、

《今回、うちの役者の姜 帝赫(カン・ジェヒョク)が韓 亞中(ハン・アジュン)と化粧品のCMで共演するから、撮影現場に連れていってあげるよ。》

って言ってたから、喜んでた矢先にアボジ(親父)の携帯が鳴って、人の彼女に手を出したPJが喧嘩してソウル市警に連行されたってんで、慌て飛んでいってしまったから結局、韓 亞中氏(ハン・アジュンさん)に会えなかったんだから! 」



『オッパ、韓 亞中氏(ハン・アジュンさん)のファンなの?』



「昔のね!

あの頃は、あんな年上の女性にスンゴク憧れてたんだよなぁ‥‥‥、今はソナだけだからね。」



膨れっ面のソナが、ニカッと笑った。



そろそろ中文ビーチゴルフクラブだ。