友植ヒョンニム(ウシク兄さん)と真剣に話しているのは、白 廣宣(ペク・クァンソン)だ



彼は、俺と同じ在日韓国人なのだ。



通称名は、白川 廣宣(しらかわ ひろのり)



勘の良いあなたはもうお気付きかと思うが、そうです!



新星MUSIC日本支社で、全てのタレントを統括して、尚且、各部所の部長達を束ねている、白川GM(ゼネラル・マネージャー)の息子である。



彼とは、民団の少年部の集まりからの知り合いだ。



桧山次長(元XYZの担当マネージャー)と同じ、武蔵野工業高校出身で、在学中に韓国で開催されたダンスパフォーマンスコンテストに出場して、見事に個人の部で優勝したのだ。



その時の、団体の部のブレイキングで優勝したのが、蘇潤徳、潤澤兄弟と 彭鐵國3人の当時のチーム【Shining Star】である。



「クァンソン、何をそんなに真剣に話してるんだい?」



『友植ヒョンニム(ウシク兄さん)が、今度日韓共同制作のドラマに出るって聞いたから、日本にいる間に一緒に遊ぼうって!』



「奥さんの優珍ヌナ(ユジン姉さん)も、日本でデビューするから、皆で集まろうぜ!」



『でも、ドラマに入ったら殆ど拘束状態と変わんないぞ!

いつ休みになることやら。

まぁ、そんときは皆で旨いもんでも食いに行こうぜ。

チャンスの母ちゃん家の実家の仁寺洞(インサドン=創作韓国家庭料理のお店)も旨いし、港区の参鶏湯専門店のグレースにも、もう一度行きたいしなぁ……!』



「任せてくださいヒョンニム(兄さん)ヌナ(姉さん)。

ご案内しますから。

クァンソン、お前の彼女は?」



『 ? 翰娜(オ・ハンナ)なら、優珍ヌナ(ユジン姉さん)と化粧室(ファジャンシル)に行ってる。 』


『おい、チャンス!

元気してるか?

お前、結婚しましたですね?

オメェデトウ ござるマチュ!』



「アッ、 翰娜(ハンナ)!

クァンソン、お前、彼女にまた変な日本語教えたな!」



『違うよチャンス!

こいつの独学の成果だよ。

毎日、繰り返しドラマ【電車男】を観ながら日本語の勉強をしてるんだよ。』



「【電車男】って、韓国でも放送されたの?」



『あぁ、そうだよ!

吹き替えじゃなくハングル語字幕つきだから、それで変な日本語を覚えたみたいなんだ。』


「だからって、酷すぎだろ!

翰娜氏(ハンナさん)、貴女の日本語、もっと綺麗な単語を習って下さいね! 」



『チャンスの説教ーーーキタ~~ー!』


「 _| ̄|○

なんとかしろ白 廣宣(ペク・クァンソン)!」



『まぁ、おいおいにな!』



「それじゃあ、そろそろ行きますか!?

アガシ(お嬢さん)ケーサネジュセヨ(おいくらですか?)」



『94万ウォン(約8万円)になります。』



「はい、これで!」



と、クレジットカードを渡して支払いを済ませ、全員で駐車場へ向かった。



『常務、ご馳走さまでした。』



「運転手はお酒飲んでないよね鳳旻氏(ポンミン君)!?」



『 翰娜氏(ハンナさん)と時英氏(ジヨンさん)は、元々お酒飲まないって言うか飲めないので、いつも烏龍茶かジュースしか飲んでないので大丈夫です。』



「そうですか。

それでは安全運転で帰りましょう。」