その夫チャンスの後ろ姿を眺めながら、ゴルフのスコアが91点で悔しがるのが羨ましくてしょうがなかった。
ソナのベストスコアは99点で、平均したら110点なのだ。
そんな事を考えながら、夫の後に付いて別荘の中に入っていった。
『チャンス坊っちゃん、ウシク様とユジン様はリビングの方へ通しておりますので、そちらへお食事をお持ちいたしますね。』
「有り難うございます。
宜しくお願いします。」
と、マンスオジサンにお礼を言ってリビングへ向かった。
『チャンス、ソナちゃん、遅くなったけど結婚おめでとう!
ハイこれ!
僕とユジンから、二人にお祝いのプレゼント!』
「『有り難うございます。』」
「ウシクお兄さん、何ですか、これ!?」
『開けてごらん。』
「ヒョンニム(兄さん)、これってまさか!?」
『その通り!
新星グループの俺の持ち株だよ。』
「そんな事してたら副社長が‥‥!」
『俺が、今の新星グループ内のゴタゴタを知らないとでも思ってるのかい!?
専務の奥さんや、その奥さんの家族がごちゃごちゃ煩いし、李 露河(イ・ロハ)専務自身は何もよう言わんし、高(コ)会長はどんな思惑が有るのか知りたいよ。
チャンス、お前ちゃんと後を継げよ!
専務の息子の李 龍河(イ・ヨンハ)は、若手のアクション俳優の中じゃあ良く頑張ってると思うよ。
でも、あいつは後継者の器じゃねぇ!
その事は本人も良く分かってるそうだ。
あの母親だろう!?
お前が早急に対処して遣らないと、龍河(ヨンハ)の奴も溜まらんだろう。』
「だからって、友植ヒョンニム(ウシク兄さん)の持ち株を貰うのとは訳が違いますよ。」
『誰があげると言った。
委任状と共に、チャンスに預けて任すと言ってるんだよ。
この先、持ち株の数で揉めて欲しく無いからな。
まぁ、会長の持ち株と会長夫人の持ち株とチャンスの持ち株だけでも充分だとは思うが、常に先の事を考えて、未来を見据えたら、信頼して着いていけるお前に預けて任すのが懸命だと言う結論に達したのさ♪
二人で話し合った結果だから気にすんな。』
「分かりました。
有り難うございますヒョンニム(兄さん)。」
『その代わり、就任したら、直ぐに理事会を開いて、専務の義弟の金 哲壽(キム・チョルス)を副理事から降ろしてしまえよ。
それでなくても、あのオッサン会社の金を横領してるって噂が有るぜ!』
「それは知ってます。
証拠も持っています。
今は、専務の顔を立てて黙っているそうです。
専務の方から、副理事を自主的に退任するように、話を進めるそうですが、拒んだ場合のみ、公表して辞任に追い込むそうです。
そうなった場合は、退職金は勿論出ませんし、横領した金額の即刻返金命令も発動するそうです。」
いつの間にか、ハネムーンで来た済州島で会社の会議みたいなことが始まっていたが、それもマンスオジサンの作ったムルネンミョン(汁冷麺)が遣ってきたら話は終了だ!
みんな一斉に銀のスプーンと箸を手に、黙々と食べ始めた。
友植ヒョンニム(ウシク兄さん)も優珍ヌナ(ユジン姉さん)も、そうとうお腹が空いてたみたいで、パンチャン(オカズ)のキムチやナムルと共に一気に平らげてしまった。