そして到着した南海岸にある新星グループが所有する保養所。



時刻は、午前11時を少し過ぎた頃だ。



エントランスに停車して、スーツケースやゴルフのキャディーバッグをおろす。



保養所は3階建てで、外観は高級リゾート地に在るゴルフ場のクラブハウスの様に、お洒落でゴージャスな感じだ。



建物に入って直ぐに寛げるラウンジスペースがあり、突き当たりは全面ガラス張りで、済州(チェジュ)の海が見渡せる。



受付カウンターの様なものがあり、備え付けのボタンを押すと、カウンターの奥の部屋から管理人が現れてきた。



「いらっしゃいませ。

お待ちしておりました。」



『今日から4日間お願いしますね。』



「畏まりました。」



「ヒョンニム(兄さん)、食事はまだですよね?」



『あぁ、もうお腹ペコペコだよ。』



「それじゃあ、部屋に荷物を置いたら隣に来てください。

なんか、美味しいもの作って貰っておきますので。」



『助かるよ♪

じゃあ後で!』



「了解しました。

ソナ、じゃあ行こうか!」



『ハイ、オッパ!』



別荘に戻って、マンスオジサンに頼んだら、ニカッ!と笑って、



『畏まりました。

それでは、ウシク様とユジン様には、ムルネンミョン(汁冷麺)をお出し致しましょう。』



「さっき朝食を食べたばかりなのに、ムルネンミョン(汁冷麺)って聴いたら、また食べたくなってきたよ。」



『私も!』



『それでは、お二人にも少し少な目にお作り致しますので、ご一緒にお召し上がりください。』



「わ~い、マンスオジサン最高!

ところで、海珠(ヘジュ)チャンは!?」



『ヘジュは、山房山(サンバン山)にあるみかん畑で作業しております。

甘く大粒のみかんが出来るように、品種改良の研究をしているところなんで、毎日悪戦苦闘しながら頑張っているそうです。』



「もしそんなのが成功したら、いままで以上に済州キュル(チェジュミカン)が有名になりますね!」



『そうなれば宜しいのですが、なかなか大変みたいです。

日本から入手した大粒のみかんと、済州の甘いみかんを交配させたときに、丁度うちのヘジュもそのプロジェクトに参加したのですが、未だに実がならないとか言っておりました。』



「本当に大変なんですね。

さて、それでは少し庭におりますので、お二人が着たら携帯鳴らして下さい。」



と言って、1階のリビングを抜けて直接掃き出し窓から外に出た。



『オッパ、明日はゴルフでしょ!?』



「あぁ、中文(チュンムン)ビーチゴルフクラブに予約してるよ。

朝9時丁度にINからスタートだよ。」



『私、海コース初めてなの。

丘陵コースしか遣ったことが無いからなぁ……!』



「やっぱ、海からの風が強いから難しいよ。

前にアボジ(親父)と李支社長と白川GMの4人で回ったけど、その時はあそこのコース、台風が去った翌日と言うのもあって、あまり良く無くって、メンテナンスも間に合わなくイマイチだった上に、海からの風でスコアはガタガタだったよ。」



『オッパのスコアは!?』



「91点!

もう最悪だよ。」



明日はリベンジだかんな!



絶対に70代で回って見せるんだから!



一人張り切るチャンスだった。



と、そこに電話が鳴り、直ぐに別荘へ戻った。