そして、ギャル男に向かっていきなり



『タンシヌン 優珍オンニ エヨ?(あなたは、ユジン姉さんですよね?)』



と切り出した。



ギャル男は怒るでもなく、笑うでもなく、しかし否定するでもなく、ただじっとソナを見つめているだけである。



ソナは、今度はギャル子の方に向き直り



『タンシヌン 友植オッパ エヨ?(あなたは、ウシク兄さんですよね?)』



と自信を持って尋ねた。



黙ったままのギャル子だったが、我慢できなくなったのか、背中がピクピク痙攣している。



そして終に、



「ハハハハハハ!

ソナちゃん大正解!

良く気が付いたね?」



『気が付いたって言うか、自信無かったんですよ。

ただ、身長が一緒だったからまさかとは思いながら尋ねたんですよ。』



「チャンスは直ぐに気が付いていたよね。

どうして知らん顔してたんだい!?」



「ソナが、こういうの直ぐに答え明かしたら残念がるからね。

自分の力で当てるのが大好きだから。

テレビのクイズ番組を一緒に観ていて、先に答え言って仕舞って怒ってましたからね。」



『オッパ、ヒドイ!

そんなこと言わないでよ、恥ずかしいわ。』



ワイワイガヤガヤ盛り上がりながら、駐車場迄行き、車に荷物を積み込んで保養所へ向けて出発した。



「チャンス、お前の結婚披露宴が日本と韓国の両方で流れてたけど、自分の披露宴でも演奏したんだな!」



『XYZの再結成か!?ってレポーターやスタジオのコメンテーター達が騒いでたわよ。』



「再結成は無理かも知れないけど、皆仲間なんで、やっぱ会うと一緒に演奏したくなるなぁ。

ヒョンニム(兄さん)、ヌナ(姉さん)、いつまで此方に居られるのですか?」



『休みは今日から5日間なのよ。』



「だから、4日間はこっちいるよ。

最後の休みの日は、次の仕事に向けての準備をしないといけないからね。」



『次の仕事に向けての準備って、またドラマが入ったんですか友植オッパ(ウシクお兄さん)!?』



「そうなんだよソナちゃん。

僕ね、今度は日韓共同制作ドラマ【悲しき皇子】ってドラマで主役の李 垠(イ・ウン)役に選ばれたんだよ。

李 垠(イ・ウン)は、初代大韓帝国皇帝である高宗の第7男子なんだけど、日本で生活したり、日本の軍隊に入ったりした人物なんだよ。

だから、日本語が話せる俺に白羽の矢が立ったって訳! 」



「ヒョンニム(兄さん)、李 方子(リ・マサコ)女王役は誰なんですか!?」



『李方子(イ・パンジャ)役は、日本の森プロダクションの真砂 玖美(マサゴ クミ)って女優なんだけど、まだ会ったこと無いし、顔も知らないんだ。』



「真砂 玖美(マサゴ クミ)って言ったら、13才で日本一可愛い少女を選ぶジャパン キュート ガール コンテスト(Japan Cute Girl 略してJCG)に優勝して、ドラマやバラエティーに引っ張り凧の売れっ子女優ですよ。

今年で23才で、森社長の一押しですよ。」