『ミスターチャンス、画像や映像やメモリーはどうにもなんねぇが、彼女らが盗んだ物は全て俺が買って返すから。

ギターも、勿論だし、お金も全て弁償する。

先程の無礼も詫びを入れるし、彼女らをジムのところに連れていって詫びを入れさせもする。

だから、彼女らの顔写真をニュースで流すのは勘弁して貰えないかな?』



「それじゃあ、約束を守ってくれますね?」



『あぁ! 男に二言は無いぜ!』



「ちょっと待ってくださいよ。」



と言って携帯電話を取り出すとABC放送に連絡をいれ、全て戻ってきたからとニュースをストップして貰った。



警察にも連絡して見つかったから、事件として取り扱わないで欲しい旨を伝え、今は、赤い扉の教会に来ていた。



『この上の部屋に置いといたの!

これ、倉庫の鍵。』



「ここかぁ。

ギターは傷付けて無いだろうね!?」



『勿論、丁寧に扱ったわよ。

これでも一応、キングバードの楽器は全部私達が管理してるのよ。

傷ひとつ付けて無いわ!』



『ジャッキー、ちょっとは反省しておとなしくしてろ!

開いたぜ!

このバードケースのギターだな!

ホイ、チャンス!

中を確認してくれ!』



渡されたギターのケースを開け、中から出てきたメタルフロントのゼマイティスのレスポールタイプのギターに力を解放して触れてみた。



ギターには何の問題もなく、直ぐにケースの蓋を閉じてロックを掛けた。



「確かに大丈夫でした。

それじゃあ、電気屋と携帯電話ショップに行って、無くしたものを買ってきて下さい!

ロバートは私と一緒にギンコウに行きましょうか!

お金を下ろさないとですよね!?」



『あぁ!

じゃあキャロル、お前達は、
買い物が終わったら教会の裏のカフェテリア【サンタマリア】で待っていろ!

逃げたり、ふざけた真似をしたら、金輪際絶交だかんな!

お前らとは遊ばねぇ!

ちゃんとしてたら、今回の事はジム次第だが、俺はもう何も言わねぇから!』



『『は~い!』』



「それから、ミスターチャンス!

ここで土下座させてもらうぜ!

神様の前で、あんたに対する無礼を詫びさせて貰うよ。」



『もう良いから!

あんたの誠意は見させて貰ってるから。

仲間想いだし、音楽家としても、凄く良い腕してるし!

それじゃあ、俺が日本に帰る前までに、一緒にステージで共演させてくれないですか?』



「そんなんで良いんなら、明日の夜に西125番通りに在る【アポロシアター】でライブが有るんだが、一緒にステージに立ってくれるかい?」



『アポロシアターって事はディナーショー形式なのかい?』



「あぁ、そうだけど!」



『だって、キングバードって言えばヘビーメタルバンドだから。』



「ハハハ!

ミスターチャンスは、俺達の事をあまり良く知らないみたいだね!」



『と言うと?』



「俺達は元々、教会でゴスペル遣ってたんだけど、教会の裏手に住んでいる身寄りの無い子供達の面倒も見てたんだ。

でも、お金がないと子供達に飯も食わせられねぇだろう?

それにゴスペルじゃあ金はそんなに稼げねぇ。

それで、その当時流行っていたのがヘビーメタルバンドだから、俺達も頑張って練習してプロとしてやれるまでになったのさ!

俺達が毎月アポロシアターで遣ってるのもその一貫で、金持ちのお姉さん等を集めてのチャリティーコンサートなんだ。



親の居ない子供達の生活費や勉学に充てるためのコンサートで、毎月色んなジャンルの曲のコンサートをして、飽きさせない様にやってるんだ。

曲のジャンルは、今回はヘビーメタル風クラシックだから。

ギターの譜面は有るけど、ほぼ初見での演奏になるけど大丈夫だよな?

後で渡すから、一応目を通しといてくれるかい?」



何となく面白い予感を感じながら、ロバートと歩いて数分のところに在る銀行へ行き、ジムに返済するお金を引き下ろしてきた。