「まぁ、そんなこんなだ。」


「にしても千尋ちゃん暗いわね~!」

ついさっきの態度とはコロッと変わってびっくりした表情で私の顔を覗き込んでそう言った。

「気にしてるかもしれないことをポロッというかよ普通・・・。」

椿くんはぼそっと言ったつもりかもしれないが、私にははっきりとその言葉が聞こえていた。


「いいんです。こういわれるのは珍しくもないし、むしろ慣れてますから。」

「あら、そうなの?じゃぁもっと言っちゃうけど~、何で前髪さげてるの?肌も全然お手入れしてないじゃない!唇もカサカサだし~、髪も傷みすぎだよ?」


さっき長谷川に整えてもらったばかりだというのに・・・。

すると突然バッと袖を捲くられた。


「あーあー・・・ムダ毛は抜かないと~、ぼーぼーじゃないの~。」


「すっげぇ毒舌というかうざいというか・・・。」

椿くんがぼそっと言った。


美樹さんはしばらく私のまわりを歩き回り、最後にもう一度顔を覗いてきた。


私はきれいな顔が近づいてきて動けなくなってしまった。

何を思ってか、何も言わずそのままふいと前を向き、歩いていった。


・・・・・・えっ?

えっ?えっ?今の何だったの??