愛莉が持っていたものはいつ誰が取り外したのかもわからない電球だった。


「ここのトイレね、電気が古くなってたの。さっき八重が電球を取り替えたからこの古くなった電球は処分しなきゃならないの。わかる?」

「愛莉、それはちょっとやりすぎなんじゃ・・・」

麻子が不安そうに尋ねる。

「何このくらいでびびってんの?麻子。」


だめだ、愛莉には何を言ってもだめだ。




私はちょっとずつ後ずさりをしながら怯えていた。


後ろに下がっても壁しかないことをわかっていても体が勝手に動いていた。

「ほら!加えて!」


愛莉が近づいてきて私の頭を掴もうとする。

が、私はなんとか立ち上がりその手を避け、走ってトイレから出ようとした。


すると、トイレのドアに寄りかかって腕組みをしていた道穂がダンッという大きな音と共に足を壁に当て、通せんぼをしてきた。


私はまたびくっとして立ち止まった。



すると奥にいた愛莉がこっちに向かってゆっくりと歩いてくる。



「こんな状況で逃げられるとでも思ってんの?」