だが、やはり嫌なのもあって、渡すことをためらった。


「早く貸しな!」

突然叫ばれ、私はびくっとしてバケツを愛莉に渡した。


愛莉が乱暴に私の手からバケツを奪った。


「水を入れて。」

振り向かずに水道側にいる麻子にそういってバケツを渡す。


麻子は水をバケツ半分くらいまで入れて愛莉に渡す。

愛莉は受け取ってすぐに私にその水を投げつけてきた。


「っ!」

頭から髪に伝って水がポタポタと滴っている。


すると愛莉は空っぽになったバケツを思いっきり私めがけて投げつけてきた。

カコーンという痛く乾いた音と共に私の頭に痛みが走った。


私は頭を抱えてその場にしゃがみこんだ。

「さてと、お次はこれを口で加えて?」


顔をゆっくりと上げた瞬間それを見て心臓がすごい速さで動き出した。