聖地オリオールは、とても静かだった。音そのものをなくしてしまったように、風の音も草花が揺れる音も、何も聞こえなかった。

ノエルは古く巨大な城へと足を踏み入れた。
今にも朽ちてしまいそうな城壁に、つたが絡みつき、城壁は剥げているものばかりだ。

城内も物が散らかり、チェストや花瓶なども床に倒れており、閑散としつつ荒れ果てていた。

暗い城内を抜け、ノエルとギルは中庭に出た。

中庭の木々も灰のように色がなく、無駄に広く感じられた。
中心にある噴水のため池の中の水だけが唯一存在しているように思える。