ノエルは奥底から力がみなぎる感じがした。ギルは、さすが彼女の見込んだ男だった。

「へえ……なかなかやるわね。私の黒魔術を?」

二人が勢いよく入り口を振り返ると、そこには影のように立っているバルバラと、縄で拘束されたマーレがいた。

「マーレ!」

ノエルがとっさに叫んだ。

「あのじじいめ、やるじゃないの。でもあんたたちも、ここまでのようね」

すると、バルバラの背後から続々と衛兵たちが姿を現した。

ギルがノエルを庇うようにして前に立ち、バルバラを睨んだ。

「どういうつもりだ。プリンセスに立ち向かう気か」

彼は強く言い放った。そうして、衛兵の異変に気がついた。

彼らには生気が感じられなかった。衛兵たちはみな、バルバラに操られているのだった。