巨人というにはヒトでもなく、太くて長い四肢はつるんとして色はくすみ、顔はなく、丸い目がぽかんと空いているだけだった。

初めて見る巨人に、ノエルは胸がどきどきしていた。しかし、恐怖は不思議となく、感動さえ覚えるほどだった。

鳥や小さい動物たちが巨人のもとでじゃれ合う光景は、平和なものだった。

ノエルたちに気付いているのか否か、巨人はそのままくるりと背を向け、教会の裏の森へとゆっくりと姿を消した。

「あっ」

ノエルは半歩踏み出したが、じっと広くて大きい背中を見送った。

「……偉大だ」

ぼそりとギルは言った。