「あっ!待って!」

反射的にノエルもその動物のあとを追った。

「おい、ノエル!」

そしてそのノエルを、ギルが慌てて追い駆けて行く。

「待ってったら!」

ノエルは跳ねるようにして走った。

彼女はただのプリンセスではない。ルカッサ一おてんばな女の子なのだ。ギルも、そんな彼女を見失わんと走る。

すぐに森の中に入った。

そこは木々が生い茂り、太陽の光はほとんど入ってこない、薄暗い森だった。
やはり木々も白く、まるで真冬の薄暗い森の中にいるような、おかしな錯覚である。