「……終わった?」
最後の一問を解き終えて、大きくのびをした瞬間。
風見歩の声が聞こえた。
振り返ると……
……何?
なんで、笑いをかみ殺したような顔をしてるわけ?
両手を上げたまぬけな格好のまま、私は思わずフリーズする。
「早かったね。」
そんな私にはおかまいなしに近づいてきて、やつは机の上のプリントを手に取った。
そして、ざっと目を通したかと思うと、
「うん。完璧。」
にっこり笑って……
「やればできるじゃん。」
ふわりと、私の頭に手を触れて
まるで、子供に“いい子、いい子”するみたいに……撫でた。
……って、はぁっ?
「ちょっ…」
一瞬固まってしまったものの、すぐに覚醒した私は慌ててその手を振り払う。
何しちゃってんの?この人はっ。
急いで離れて、椅子ごと距離を取ってから、私はきっと睨みつけた。
「あー…ごめん。つい。」