「それはないよ。あり得ない。」
だって、そんなの聞いたことないし……
そりゃ、彼女の交遊関係をすべて把握しているわけじゃないけど……
俺の見る限り、“彼氏”どころか“好きな人”がいる気配すらない。
それに……
「浅海さんの“彼氏”になるのは俺だって、もう決まってるんだよ?」
他の“人間”に務まるわけがない。
俺だけ、なんだから。
「……お前。」
きっぱり言い放った俺に、
「その自信はどこから来るわけ?
他の女ならまだしも、あの浅海だぜ?
お前の持ってる“武器”は、何ひとつ通用してないじゃん?」
呆れたように、思いっきりため息をつくダイスケ。
「自信も何も……。
これはもう、神様が決めた“運命”なんだもん。
変えられるわけがないでしょ?」
「……つくづく、おめでたいやつだよなぁ。
俺は、もう何も言えないよ。」
ダイスケの言葉を耳に流しつつ、俺はもう一度窓の外に視線を移した。
わかってはいるけど……やっぱり嫌なんだよなぁ。