「………。」



くるみちゃんが去った後。

残されたのは、重い沈黙。


……なんで?

浅海さんが、いつも以上に…いや、いつもとは違う“不機嫌オーラ”を出しているのがわかる。

俯いたまま、動かないし。



「……浅海さん?」



呼んでも、ピクリともしないし……


怒ってる?

でも、部屋を出て行こうとはしない…んだよね?


じゃあ…



「……っ??」



そっと近づいて、

ゆっくりと、その身体を自分のほうへ引き寄せた。

そして…



「ちょっ……」



ぎゅーっと、抱きしめた。



あー…落ち着く。

やっぱり、コレだよね。


ふわりと香る甘さは、たぶん軽くつけた香水のせいだろうけど… 彼女にしっかり馴染んでいて。

さっき、レナちゃんの香水は妙に鼻について、すっごく不快だったのに。

浅海さんのは、違う。



そして、この感触。体温。


俺の身体が喜んでいるのがわかる。



いつだって、

俺が求めているのは、

コレだけなんだよ?







「……離してっ」