「新ちゃんと待ち合わせしてるんだ。」


言いながら、くるみちゃんは、そそくさと帰り支度を始めた。


「えっ?ちょっ…くるみっ」

そんなくるみちゃんのところに慌てて駆け寄る浅海さん。


「帰るなら、私も…」

「あー、いいよぉ。風歩ちゃんはもう少しいなよ。…あゆちゃんと。」

「……はっ?」

「せっかく会えたんだし。
この部屋、あと1時間くらい使えるから。」


ね?と言わんばかりに、浅海さんに笑いかけて。

くるみちゃんは、入り口に向かって…つまり、俺のほうへと歩いてきた。


「くるみっ!」


動揺する彼女を無視して。

……なんかすごく楽しそうじゃない?


「じゃあ、ごゆっくり~」


にこーっと笑って、小さく手を振って。

ドアを開け…る寸前。


「あ、そうだ。」



くるっと、突然振り返ったくるみちゃん。

何かと思えば…


「ここ、防音だから」

「へっ?」

「たいていのことは平気だと思うけど…節度は守ってね?」


可愛い顔して、とんでもないことを言い残して行った。