「誰が?」って聞こうとした、まさにその瞬間。



――ガチャッ。

後ろの扉が開いて。

慌ててそっちを見れば…


「えっ?」


そこにいたのは、まさしく……


『なんでいるの?』


うわぁ。ハモッちゃった。


「あ、風歩ちゃん。おかえりーっ」


対峙したままの格好で固まる俺たちの後ろから、くるみちゃんの呑気な声が聞こえた。


「遅かったねぇ。」

「な…なんで、コイツがここにいるわけ?」


目の前にいる俺を通り越して、くるみちゃんに訊ねる浅海さん。


「あー、さっき偶然会ったの。ね?」


あくまで“自然に”。
俺に同意を求めるくるみちゃん。

浅海さんに見えないように小さくウインクなんてしちゃってるあたり…まさに“小悪魔”だ。


「うん、そう。さっきそこで…」


ここは合わせておこう。


「……っ」


何も言えずに、浅海さんは唇をかみしめて黙り込んでしまった。

くるみちゃんってすごい。



「あ、くるみ、そろそろ行かなきゃ。」