「……疲れた。」
思わずもれるため息。
「もう、限界……」
ベタベタ甘えてくるレナちゃんと、
ベラベラとマシンガンみたいにしゃべり続けるカオリちゃん。
相変わらず、マイクを独占して観客のいないライブを繰り広げるダイスケ。
なんとか頑張って対応してたんだけど……
さすがに、無理。
トイレに行く、って言って逃げてきてしまった。
……何、コレ?
これが、ダイスケの言う“青春”?
ちっとも楽しくないし、
変に神経と体力をすり減らすだけだよ。
あー…もう。
このまま帰っちゃおうかな?
こっそり荷物も持ってきたし……
時計を確認してみれば、
開始から既に2時間も経っていた。うわぁ…
みんな、いつまでいる気だろう?
確か、フリータイムで取ってたっけ?
はあーっ。
再びため息。
……今からじゃ、もう会えない、かな?
会いたいなぁ……浅海さんに。
会って、ぎゅーってしたいなぁ。
あの感触と匂いが恋しいよ。
目を閉じて、近くの壁に寄りかかった。
そんなとき……
「…えっ?何っ?」