「なんか新しいやつみたいだし、浅海さんのほうが似合うから、持って帰ってもいいよ?」
……いや、いらないから。
でも、ということは……
「着替えさせてくれたのも……妹さん?」
会ったことはないけど、前に2つか3つ下だとか言ってた気がする。
サイズも合ってるし、そんなに年は離れていないはず。
「え?まさか。違うよ。」
私の質問に、笑顔で答える王子。
なんで“まさか”なわけ?
疑問に思いつつも、
「じゃあ、“お母さん”?」
あの若くて美人で“天然”なあの人なら、喜んでやってくれそう。
「違う。違う。
あいにく、両親は今、急な法事で留守なんだよね。」
「じゃあ、まさか…」
「言ったでしょ?
“俺が”看病した、って。」
「それって……」
考えたくない。
信じたくない。
でも、1つの考えしか浮かばない。
「俺。俺が、責任を持って着替えさせたから。」